アフタースクール

おまえがつまんないのはおまえのせいだ

おまえみたいにずっと教室で生きている奴に人間の何がわかるんだよ。
何にも知らないで　自分の都合のいいように世間見て人間見て安心しやがって。
中学から早く卒業しろよ。
この探偵の台詞スカッとしたなあ。
それを中学校の教師が、どんでん返しの瞬間こう返すんだ。
おまえがつまんないのはおまえのせいだ。
そう、この話は、出身中学でずっと中学教師をしている神野と、中学の同級生と名乗る探偵とのこの会話のやりとりで、すべてが解明される。
一見世間知らずに見える人間が、世間ずれして狡猾に見える人間よりも数倍上手だったという話。
目に見えるすべての事象が、週刊誌の捏造記事のように真実とは大きくずれている。それを解き明かす後半の部がとても痛快だ。
新宿歌舞伎町の大人のおもちゃの店と、中学校と、ある商事会社という散在した点がひとつの線で結ばれたとき、観る側にこの上ない戦慄を走らせる。アフタースクール（放課後）という言葉のが持つ意味が、ちっとも生易しいものではないことを、嫌と言うほど思い知らされる。人間見た目でバカにしているととんでもないしっぺがえしをくらうことを思い知らされる。人を甘く見てはいけないのだ。
そして、店長兼探偵役の佐々木蔵之介と教師役の大泉洋と商事会社の社員堺雅人の強固のトライアングルによって、とてもクールだが、一方でとてもピュアなサスペンスに仕上がっている。

本命はエンディングのあと・・・

ネタバレではないが未見の方は構えてしまうので、この先の文章は鑑賞後にお読みください。
一回目と二回目の鑑賞で、人物の関係がまったく違って見える。
映像や俳優が持つ性質・その人らしさを巧みに利用し、観ている観客に一種の錯誤をさせている。
どんでん返しの連続というより、
例えばだまし絵で白い部分に集中して見たとき「砂時計」に見えたものが、黒い部分に焦点を当ててみると「向かい合った人物の顔」に見える、と言う感じ。
人物の役割や関係が、観客が映像や俳優の個性からくる情報で勝手に思い込んだものが、そうではなかったと気づく！！
Ａと見えたものが実はＢだった！！
まさに「砂時計」→「人の顔」、だまし絵みたいな驚きである。
それが凄いのが1個や２個でなく、連続でくることだ。
一体、我々は何を見ていたのか！！　誤解ばかりして何も見えていなかったのじゃないか！！
「全部解ったような顔して勝手にひねくれて（中略）。お前がつまらないのは、お前のせいだ」
これは劇中の人物に言われた名言だが、解ったつもりでうわべしか見ておらず、映画の本質を理解しない浅はかな観客自身にも放たれたメッセージなのかもしれない。
人生の味わいというのもそうで、「仕事なんてこんなもの」「友情なんてこんなもの」「女なんて」「男なんて」「やりがい」「趣味」「孤独」「差別」「面白さ」なんてこんなものと、勝手に狭めて見ていないか？
本質を知らず、いつもうわべだけ見て勘違いして生きているのではないか？
そんな深い洞察をもたらす逸品だと思う。
最後に、この映画で本当に追うべき相手・本命に関することは３つ位しか情報が出ていない。
(1)街の背景としてチラっとだけ映る。
(2)「片岡（ヤクザ）なんかよりも迷惑かけてはマズイ人がおりますから」と一言だけ言及されている。
(3)エンディング後のＴＶに映っている。
大がかりな計画はこの本命のためにあったのだ。
どこまでも油断できない映画だ。

2回観ると更に楽しめる

ストーリーは2回ほど展開します。その都度意外な展開に驚かさせました。
最後に凡その伏線に対する説明じみたシーンがありますが、全てを知った上で改めて観ると、演者の細かな表情や仕草、セリフ回しなど最初見たときとは違う印象で見れるので2度楽しめます。

解説もレビューも見ないことをお勧めします

これから見ようという方にご忠告。ネタバレ解説はもちろん、レビューのたぐいもいっさい見ずに、白紙の状態で見始めてください。それがいちばん、この映画を楽しめる見方だと思います。
これ見てるあいだじゅうずっと、この話のどこが「アフタースクール」なんだろう、って思ってました。
ところが……なるほど、そう来るか。
見終わった後、お酒でも飲みながら、しばらく1人でぼーっと目をつむって最初から色々なシーンを思い出すひとときが楽しいです。
あ、そっかー、って。

文句なし！！

本当に面白い映画です。
この映画の一番の魅力は、小気味よく錬られた「物語」と絶妙な「語り口」だろう。
くるくる変わる眼の離せない展開に、無理なく分かりやすい脚本と嫌みのない演出でどんどん物語の世界に引き込まれてゆく。
役者も良い！
端役にいたるまで、ちゃんとそれぞれの見せ場があり、物語の欠かせない「歯車」として活きている。
まるで将棋の名人のような、配役と演出が冴えた、本当に面白い映画だった。
ハリウッドを真似しきれずに、巨人が出てきてコンニチハみたいな映画に辟易していたけれど…、
なんの、日本映画も健在ですね！！
爽やかに感動しました！
ありがとう！！

上手い！

こんな名作があったなんて、今までノーチェックだった。
実に上手く出来ている。張り巡らされた伏線が最後に一つになっていく爽快感、最高。クライムサスペンスというと洋画ならなんでもドンパチに持って行くけど、コメディーに持って行く所が如何にも邦画。それも演出と役者の妙で最高傑作となっている。
大泉洋とムロツヨシってキャラ被っているけど、これで共演しているんだ。

痛快さがたまらない！

違和感とモヤモヤ感満載の中盤から、怒濤の種明かしと大逆転劇。ラストシーンの早朝の学校の風景もなんとも懐かしさと清々しさを与えて満点です。
佐々木蔵之介さんのすっとぼけた演技、警察の方々のありえないポップさをはじめ出演のみなさんが楽しんで臨んでいるところもたまらず幸せになれる映画です。

世界が180度回転

最初と最後ではぐるっと一回転してしまうほど世界が変わってしまいます。
ご都合主義？と思われる部分だってそれも映画の醍醐味というものではありませんか？
ストーリーがひっくりかえってはまたひっくりかえって、脳が活性化されます。
でも小難しいストーリーではない。
誰でも理屈なく楽しめるエンターテイメント作品です。

ストーリーが

面白くて何度も観てしまう映画。
配役もいい。

新作を待ち望む唯一の日本人監督

一言で言って面白い。
邦画はもっとこういう路線で映画を作っていくべきだ。
ハリウッドはスケールの大きさやCGが強い。イギリスはスタイリッシュさ、お洒落映画。インドは歌と踊りと、つまりなんでも有りのマサラ。まったり甘い作品はフランス。サスペンス系は北欧なんかがイイ。
日本はシチュエーションものや、トリックものに力を入れて欲しい。
言うなれば古典落語みたいな、あっなるほどね的な映画。
つまり「アフタースクール」
そういう意味でも今、新作映画を楽しみにしている日本人監督は内田けんじ監督だけだ。
荒削りだった「運命じゃない人」よりも今作は洗練されてた。「鍵泥棒のメソッド」は更に洗練されてた。次はもっと期待できるはずだ。